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5億年ボタン。後編

「やっべっ やっぱこうなるのか…」


5億年ボタンは端から見れば


ただボタンを押すと
ただ100万円がでてくるように見えるが


押した本人は5億年体験しなければならない。



記憶がなくなってるから

5億年後は普通に喜んでいるが。




スネ郎もただ、100万円が手に入ると思って

ボタンを押しただけなのである。




「あー、マジで5億年??……うそだろ?」




スネ郎の5億年の認識は

まだ甘かった。




最初のうちは周りを

うろついたり

走って出口を探したりしていた。




「はぁっ、はぁっジャイ太もこうなったのかな…?


はぁ、はぁ、出口はどこにあるんだよォッ!!


いけどもいけども同じ景色が続くだけじゃねぇか!!」




スネ郎は走り続けた。

疲れては休み また走る。












結局










まる3日走ったところで

「出口などない」という簡単な事実がようやく分かったようだ。





「オイオイわけわかんねーぞ

一体…何が起こったんだ?

オヤジや母ちゃんは心配してんのかな

オレ…一体どうなるんだろ…?

帰りてぇな。…」





スネ郎は家族のことや友達のことを考えながら

最初の1週間を過ごした。









~3ヶ月後~








この場所が

ものすごく長期なものということに

だんだん気づき始める。




お腹も減らないし

特に苦しくないのだが

なんとなく漠然とした恐怖が襲ってくる。





なんか寂しく。





遠くを見て

これからの生活に悔やむ。








~半年後~







「ポン!あ、左手の勝ち。」




『ひとりじゃんけん』を開発。


この場所で前向きに生きようと努力。




ひとでできることをコンセプトに

時間つぶしを追求しまくっていた。




あるときは

抜いた歯を投げて、自分でまた探しに行く

という寂しい行動を続け



またある時は

「しりとり、りんご、ごはんですよ、夜型人間

あ、んがついた!」

と、ひとりしりとりを遂行し



ある時は

タイルの溝からはみでないように歩いてみたり



ある時は

溝をなぞり続ける日もあった。








毎日、とにかく暇を潰す。

何かしていないと

本当にやることがない。

気が触れてしまう。






飽きては開発し

飽きては開発し

幾度となく繰り返してきた。










~1年後~









「おっ!」

「もぉ、やめてよスネ郎っ」

「いいじゃん、いいじゃん」

もみもみ、もみもみ

「ダメだよーこんなところでっ」

もみもみ、もみもみ






行き着いたのが妄想ワールド。


スネ郎はひとりで

「ダメったらダメ!、大丈夫だって!、だめぇ~あンっ」

とつぶやいては、揉む仕草をしていた。




これは飽きずにしばらく続いたが

むなしいだけと途中で気づいた。









~その40年後~








「…………………」






スネ郎は何もしなくなっていた。






何度となくボタンを押した自分の

愚かさを後悔する。




現実で生きた時間より大幅に


こっちで過ごした時間の方が長くなっている。





もう、充分

途方もない長い時間のつらさが

わかったようだ。













~100年後~













「だいぶ・・・・・・・長いこと…生きたな・・・・

あと何年くらい・・・ こうしてれば・・・・・いいのかな・・・・」













ちなみにあと499999900年。








そしてまた途方もない時間が流れる。







ここに来て12066年




スネ郎はもはや

考えるという行動をやめていた。




でも死ぬことはもちろん

意識を失うこともできない。





12066年間

時間を、1秒1秒じっくり認識させられながら

生きている。

また限りない時間が流れる。














504万9272年目のある日













突然スネ郎の頭に、哲学的な疑問が浮かんだ。



スネ郎はガバッ!と起き上がり、思った。



「ホントはこっちが現実なんじゃないか?」

「一体ココはどこなんだ?」

「宇宙の中なんだろうか?」

「宇宙以外の場所なんだろうか?」




「俺はなんで前いた場所に戻りたいんだ?」




「昔いたあの場所って一体なんだったんだ?」


俺は昔なんも考えず、普通に人間社会の中で生きてきた。











だけど











そこは一体どういう場所であり

どういうトコロなんか?




俺はしらねぇじゃねーか。





だいたい宇宙っていったい

なんなんだ?





そしてそんな訳わかんねー宇宙の中の地球の表面で

生まれてちょっと生きて死んでいく






俺という生物の存在は一体何なんだ?





スネ郎は考えた





幸運にも彼には考える時間が腐るほどあった。


ペンの代わりに抜いた歯を使い、


足元のタイルに書き記していった。





休むことなく考えた。




毎日毎日毎日




十年…百年…一万年…




真理を追求すべく徐々に自分なりの




自然科学物理生物学を

導き出していく




何度も何度も間違え


その度さらに精密な形を生み出し







20000000年

すでに人類の英和を遥かに超えた発想と理論の枠で

彼は真理を追求していた。









一億2316万9649年

彼は宇宙を理解し、







何かを悟ったらしい








そして3億7683万351年間

彼は空間と調和した。







そして









5億年目










彼は









世界に還る。











宇宙から上空へ

上空から空へ

空から街へ

町から、彼の体へ












記憶は消される。















「・・・・。」



「100万円でてきてまちゅよ。」


「おっ よっしゃぁ!すげぇ、生の100万だ!

やっぱなんにも起こんないじゃん!」



「ホントは5億年経験してるんでちゅよ?」



ジャイ太は調子に乗り始め、「おい!も一回やらせろ!」

という。



止める理由のないトニオは

「いくらでもいいでちゅよ。」と差し出す。



ちなみにジャイ太はこれで15億年目だ。



「こんなにいいバイトほかにねーよ!
一瞬で100万円!やめらんねーよ!」



スネ郎も記憶がないので

調子に乗り始め、「何回やってもいいの?」

と訊く。



「やりたければいいでちゅよ?」



「じゃ、オレ連打しちゃおっかなーーっ!」



ピコピコピコピコピコピコピコ……」















5億年16往復コース開始。

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